昨年WRの燃料ポンプが故障したので症状とポンプ交換について書いていきます。
ポンプの中身的にはセローとかトリッカー、シグナスXのポンプと同じみたいなのでその辺りの人も参考にして貰えればと思います
●注意事項
お約束ですが、整備に関しては完全自己責任でお願いします。
ガソリンを扱うので火気厳禁、冬場は静電気にも十分注意して作業してください。
不注意によって火災など発生した場合は刑事・民事で責任が問われる場合があります。
●問題発生時の症状
- 走行中アクセルを開けているのにガス欠のような症状が発生しエンスト
- 素早くアクセルを煽るとエンスト
- エンスト後10分ほど放置すると若干不安定だがエンジンが始動する
- 検証のため始動後にアイドリングしていたところ30秒ほどでエンスト
アクセルを開けてエンストするのはこんな感じです。
症状まとめてみると燃料がうまく送られていないのがわかります。
そうなると候補として
・ポンプ
・燃料レギュレータ
・インジェクター
のどれかですが普通に走れる場合があるなど症状が必ず起きるわけではないので、インジェクターや燃料レギュレータではなくポンプの故障と判断します。
でとりあえず純正部品を調べるとポンプユニットassyでの交換となり費用が4万…ちょっと高いのでポンプ部分のみどうにかできないか調べてみるとそこだけ交換できるのがわかったのでそれで行くことにしました。
※ちなみに類似の事象がないか調べていたところ、WRは燃料ポンプのリコールが複数回あります。
・リコール情報(2009年)
・リコール情報(2010年)
・リコール情報(2013年)
ヤマハも改良はしているっぽいですが問題は根本的に解決はしていないようで、ポンプ内部のプラスチック素材が摩耗してきてポンプの吐出量が減ってくるらしいです。
純正部品の新しいものでもポンプ自体が中華製のものなので再発するなど信頼性は微妙なようです。
●用意したパーツ
●ポンプ
今回レギュレータセットを購入しましたが、ポンプ単品だけで十分だと思います。
ついでにフィルタが付属しているものを選ぶのがいいでしょう
・HFP 燃料ポンプ&レギュレータセット (HFP-390-UR)
●他の利用できるポンプ
・HFP 燃料ポンプ (HFP-390)
フィルタ付属、実績有りで品質も良いようです
基本的にこれを選んでおけばOK
(頻繁に品切れになるので複数貼っておきます↓値段も違うので比べてください)
・カメレオンファクトリー 強化燃料ポンプ (CKP500)
フィルタ無し、これも実績有りで品質も良いようです
・KEMSO 強化燃料ポンプ
中華製っぽいですが配線、Oリングなど全部入りっぽい
変なの買うくらいならこれでいいかも?
[asin:B0CH8L2Q6N:detail]
●ガスケット
地味に高いですが燃料周りなので交換しておきましょう
・YAMAHA純正部品 O-リング (1S4-24486-00)
●分解と取付
今回買ったポンプキット
中身はこんな感じでホースや色々な形のフィルタがあります。
今回はポンプとベースを繋ぐホースをカットせずに純正を利用するので使ったのはこちら
ポンプとフィルタです
右はレギュレータですが問題がなければ交換不要です
(最後に書きますが私は交換後問題があったので後で純正に戻しました。)
純正のガスケットも忘れずに
車体からタンクを取り外したところから
ガスは可能な限り抜いておきましょう
ベース部分の6角を外します
ゴミが入らないように養生しておきます。
ポンプはこんな感じです
茶と黒の配線は燃料センサ
青と黒はポンプに繋がってます
フィルタはそこそこ汚れてます
上の黒い部分に燃料レギュレータが入っています
ホース部分です、ここを傷めないように作業する必要があります
ポンプを分解していきます
まずは燃料センサを外していきます
赤丸の部分を左に押しながら上にスライドさせて外していきます
取り外します
コネクタ側も取り外します
端子に抜け防止で穴が空いていますがそこにはまっていることがあるのでマイナスドライバーなどでうまく外してください
次はポンプ側です
熱収縮チューブで隠れていますがここも抜け防止でロックされているのでうまく外してください
横着せずベース側も外しておくと後の作業がやり易いです
次はポンプを取り出すために爪の部分をカッターで削ります
合計で3箇所あります
鋭角を落とす感じでOKです
削り終わったら燃料ホースと反対側の爪の箇所をワッシャーなどでずらしながら外していきます。
ここで曲げすぎてホースやベースのプラスチック素材を破壊しないように注意してください
外したポンプは中華製です
サイズもピッタリ
フィルターつけて
ロックも忘れずに(付属品が取り付けできなかったので、純正を再利用)
ここのOリングは純正の物を流用します
ポンプじゃなくて本体側に残っていることがあるので確認してください
取り付けるときはシリコングリスなどを塗っておくと傷まなくていいでしょう
燃料レギュレータを交換するときはここを外します
柔らかい素材なので軽くこじればカバーが外れます
引っ張れば燃料レギュレータは外れます
結構汚れてます(手袋についている黒い部分が汚れ)
交換後ポンプを収めた状態
フィルタも新品に
配線なども元に戻します
(熱収縮チューブが切れてる場合などはちゃんとやり直しておきましょう)
きちんと配線をまとめて
ベース部分のガスケットをつけてタンクに戻せば完成です。
※ガソリンが入っている状態でポンプを取り付けるとタンクの内圧が上がって給油口からガソリンを吹くことがあるので注意
燃料レギュレータについて
今回私の方でよく考えずにセットに付属していた燃料レギュレータに交換しましたがマッピングや燃料系統を変更していない場合においては交換しないほうが良さげです。
海外版のサービスマニュアルを確認したところ純正の燃圧250kpaに対して、今回交換した燃料レギュレータの燃圧が380kpaで純正比1.52倍となっています。
そのため燃料が濃くなり燃費が悪化します。
私の車両の実測では10%ほど燃費が悪化しました。
250kPa:平均22-24km/L
380kPa:平均19-21km/L
その他
交換後は問題なく動作しています。(作動音も静かになりました)
KTMなどでも同様に中華製ポンプから他社のポンプへ交換するなどのカスタムがあるようなのでもしポンプが壊れたときなどは参考にしていただければと思います。
もしなにか聞きたいことなどあればコメントいただければ返信します。